大谷翔平の大型契約から考える「ブレない為に」とは?

中谷駿介の講師コラム

全米が、日本中が注目したアナハイムエンゼルスからFAした大谷翔平の移籍先がロサンゼルス・ドジャーズに決まりました。

本人のインスタグラムで発表があり、その後記者会見があり、契約総額の大きさ、後払いのウェイトの高さ等から様々な意見が出ています。

僕はこの契約「お見事」と思っています。

なぜなら今までの彼の発言を目にしていると本当に「勝ちたい」と思っている、勝利への飢餓感があり、全ての発想が「勝ちたい」という思いから出ていると思うからです。

後払いにより更なる補強を可能に

メジャーリーグには戦力均衡を目的とする「サラリーキャップ制度」が存在し、年俸総額が定められています。

それを超過するチームは「ラグジュアリーキャップ(ぜいたく税)」が課せられます。

ですので大谷翔平の年俸によりチーム全体のベイロール(単年での年俸総支払額)が膨れ上がってしまうとこれ以上の補強が出来なくなってしまう、それを防ぐために彼自身から提案したという事です。

この目的は「チームのベイロールを少しでも圧縮し、更なる補強可能に…つまり『勝つ為に』」という事です。

環境を大きく変えず、自身最高のパフォーマンスを発揮するために

アナハイムからロサンゼルスという近隣都市をホームとするチームへの移籍は南カリフォルニアに住む自分自身の住空間を変えることなく生活を続ける事が可能です。

他にも

・以前からお世話になってるドクターがドジャーズのチームドクターである事。

・すっかりおなじみになった水原一平通訳の継続雇用

・オーナーのマーク・ウォルター、編成本部長のアンドリュー・フリードマンという組織のトップが交代した時のみオプトアウトの権利を有する

この辺りは自分の生活環境を大きく変える、というストレスを抱えることなくこれからの野球生活において自分自身が最高のパフォーマンスを発揮する為の選択であると思います。

最高のチームと勝利への飢餓感と

ドジャーズは現在直近11年間で10度の地区優勝。さらにファームシステムも充実しており(大谷も交渉時にこの質問は投げかけたとのことです。)、チーム強化と選手育成の両輪が非常にうまくいっているチームです。

大谷の加入により様々なメディアが来季の予想オーダーを報じていますが、ベッツ、大谷、フリーマンのMVPトリオを筆頭に凄まじいメンバーです。

さらに大谷の契約形態の恩恵が早くも出たか、タイラーグラスノー投手を獲得し、更には山本由伸投手の獲得にも乗り出しています。

また大谷自身が会見の中で「チームからの『この10年を成功と思っていない』発言に強く惹かれた」と述べており、地区優勝の常連でありながらワールドシリーズでなかなか勝てていない現状を変えたいチームへの勝利への飢餓感にも共感を持ったのだと思います。

目的が明確だとブレない

彼ほどのトッププレイヤーになると様々な選択肢があるのだと思います。

選択肢というのは多いに越したことはないと思いがちですが多ければ多いほど「迷い」や「ブレ」が生じる原因にもなり得ます。

僕が彼の会見を見て「お見事」と感じたのは契約期間や年俸総額等ではなく、彼の発言から迷いやブレといったものを一切感じなかったからです。

「最高のパフォーマンスをして、チームを勝利に導く」

全てそこから逆算して答えを導き出す、その思考過程が素晴らしいと感じました。

キャッシュを増やす、という目的からブレるな

この思考法、我々トレーダーもぜひ見習いたい発想です。

株でトレードをする、というのはキャッシュを増やす為の手段です。

この場合キャッシュを増やす、というのが目的で、その目的を達成する手段が株のトレード、という事になります。

にもかかわらずここがブレてしまう人がどれだけ多いことか。

トレードで上手くいく手段というのはある程度確立されています。

ところがその手段を無視してしまう人が凄まじく多いです。

・資金管理をしない

・メディアの「売らんが為」の記事を見て投資先を決める

・「大儲けの手段」として株を考える

これらの思考が本質を見ることを妨げ、ブレに繋がります。

ブレなければ最良の選択が出来る、そんなことを思い知らされた大谷翔平の記者会見でした。

 

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