「可視化」は正確性を確保する。
先日NHKの特集で大谷翔平のロングインタビューが放送されていました。
今年は春先のWBC優勝からシーズン終盤までフル回転でのの二刀流、ケガでのシーズン終了、MLB初・自身2度目の満票でのMVP、そしてロサンゼルス・ドジャーズへの移籍と、2023年の野球界はまさに彼の為、といっても過言ではない一年でした。
そんな彼のロングインタビュー、興味を持って観た方も多かったのでは?
僕もそのうちの一人でした。
「なるほど」とうならされる事ばかりでしたが、その中でも一際感じることがありました。
「ドライブライン」は球質を「可視化」する。
様々なエピソードが取り上げられていましたが、その中で僕が興味を持ったのが彼の練習方法です。
MLBでは今様々なデータを基にピッチャーが自分のピッチングをデザインする、という「ピッチング・デザイン」という最先端の技術があり、大谷翔平は民間の施設「ドライブライン」で自分のデザインを磨いてきたとの事です。
ドライブラインはマイクロソフト社出身のエンジニアによって設立され、そこでは最新鋭のセンサーが張り巡らされ、ピッチャーが投げるボールの回転数や回転軸等、あらゆるピッチングデータを瞬時に把握する事が出来ます。
ボールを一球投げる毎に、その場で球質が「可視化」されます。
「可視化」されたデータは「正確性」をもたらす。
野球の世界では今まで「球の伸び」「キレ」といった、イメージは沸くけど具体的に説明しろと言われるとよく分からないワードが使われてきました。
TV中継なんかを見ていると今でもそういった言葉がよく出てきました。
ところが近年のデータ解析に関する技術の長足の進歩により、こういった言葉が「ボールのスピン量は何回転」「回転軸の垂直からの傾き具合は何度」といったより具体的な言葉に置き換えられ、それが瞬時に観られる様になりました。
投手は投げる度に可視化されたデータを確認し、自分の投げたいボールとの「ズレ」を認識し、そこから即座に修正を図ります。
野球のピッチャーで大切なのは「再現性」です。
しっかり同じフォームで投げられているか、下半身の体重移動、ステップする足の着地する位置、ボールの指先の引っ掛かり方、力の入れ方等…。
これらを毎回自分のイメージ通り再現できるか。
ドライブラインではこれらを瞬時に確認できるわけです。
可視化されたデータが投手に再現性の動きに正確性をもたらしています。
「トレーダーにとっての可視化」とは、「記録」である
この例は株のトレードでも全く同じ様に応用が効きます。
株のトレードをする上で大事な事が2つあります。
まず1つ目が「可視化」です。
自分がトレードでどの位勝ててどの位負けているのか、資金が何%増えて逆に何%減っているのか。
この辺りが自分自身で把握できないと勝っているのか負けているのかが分かりません。
ですのでトレード記録は必ずつけないといけません。
期待値を算出出来てこそ、トレードは資産運用の手段として成立する
トレード記録を付けているともう一つ見えてくるものがあります。
それが大事な事の2つ目である「期待値」です。
期待値というのは「自分がトレードをしていくと、いくら位利益を出せる様になるのだろうか」という数字です。
これさえ算出出来る様になれば、「いくらの資金を入れればこれくらい増える。」という事がおおよそわかる様になります。
また「今月の損益が期待値より少し悪かった、何が原因だったんだろうか」という原因を探るきっかけにもなります。
そうして原因を探るときに欠かせないのがトレード記録、という事になります。
可視化は客観性をもたらします。
その客観性は感情を排除し、自分の現在の立ち位置や実力を過不足なく表示してくれます。
それがあって自らの実力の向上、欠点の修正を効率的に進める事が出来ます。
大谷翔平になれる人はごく一部ですが、大谷翔平の思考、行動を考え、自らの思考、行動に落とし込むのは自分の意識次第で誰でも可能、という事がよく分かった有意義な時間でした。