最大の経費は「ロスカット金額」です。
「ロスカット」こそ最大の経費である
株を始める株式投資初心者の方がよく気にする事の一つとして「売買手数料」が挙げられます。
株式投資は「株を買った時」「買った株を売る時」それそれに売買手数料がかかります。
元々インターネットでの売買を前提としているネット証券は以前主流だった総合証券(窓口や電話で受け付けの方やオペレーターの方を介して株の売買を行う証券会社)と比較して売買手数料が非常に安いのが最大の特徴の一つです。
買って売って数百円くらいでしょうか。
さらに最近では証券口座開設時に一定の条件を満たすことにより売買手数料が無料になる証券会社も出てきています。
この数百円の経費を非常に気にする人がみえます。
ただそ株のトレードを行う上で売買手数料よりも遥かに大きな経費が掛かる事が意外に知られていません。
それこそが「ロスカットの金額」です。
経費を使わずに売り上げは立てられない
「ロスカット」とは何か、それは株価が上がると思ってその株を買ったが、その後株価が下がってしまった時に少しのマイナス金額で売り逃げて資金を大きく減らさない様にする事を指します。
例えば100万円の株を買って株価が下がりだした時に1万円や2万円のマイナスで損を出して売れば手元に98~99万円の資金が残ります。
そうすればまたよさそうな銘柄が出てこればその株を買って利益を狙えます。
これが例えば「もう少ししたら株価が再び上がるはずだ」と考えて放置しておくと株価がずるずる下がっていき、含み損が5万円、10万円と膨れ上がっていくともう売れなくなります。そこで売ると損失が確定してしまうからです。
このロスカットの技術こそがプロトレーダーが身に付得る第一歩です。
どんな商売でも事業でも売上を立てようと思えば経費が必ず掛かります。
商品を販売する為の仕入れ、モノを作る為の原材料、営業拠点を構え、人を雇い、広告を展開し、それらは全て経費です。
経費をかけるから売上が立ちます。
株の世界で一円も損したくない、と言っている人は経費を使わずに売上だけ上げたい、と言っている人と同じです。
株に限らずどんな投資でも必勝法は存在しません。という事は必ず負ける事があります。
だからこそ「細かい負けを取りに行く」事が最終的に大きな勝ちにつながります。
ロスカットを制するものが株のトレードを制する
ボクシングにおけるジャブ、野球でいうところのボール球、サッカーでいうところの相手ディフェンスラインを後ろに退かせるロングシュート…
それ自体は無駄なものでも最後の目的を達成する為にどうしても必要なもの、効果的な事があります。
株のトレードでいうとそれがロスカットです。
株のトレードというのは一つ一つの取引を捉えると必ず負けるものです。
ここで「負けてはいけない」と考えるか、「負けにいこうか」と考えるか、という事です。
僕は注文を入れる時にまず「負ける事」から考えます。
もっと言うと「負けてもいい」と思います。さらに言うと「積極的に細かい負けを取りに行く」という思考で注文を入れます。
株のトレードというのが細かな負けを繰り返しながら最終的に利益を積み重ねていく、という性質のものである以上、上手く負ける、自分の想定の範囲内で負ける、という事は不可欠になります。
ボクシングでいきなりKOを狙って破壊力のあるストレートパンチやモーションの大きなフックパンチ等をいきなり狙ってもなかなか当たりません。最終的なパンチを当てる為に細かなジャブを繰り出していきます。
「この株価がどうなるか分からないから仕掛けない」という発想では利益は取れません。そうではなくて「自分はこの銘柄は上がると思う、ただ上がらない時もある、それが分からないから備えをして仕掛ける。」という発想になります。
ロスカットというのはトレードで必ず行う行為です。
だからこそ積極的にロスカットを取りに行く、細かいロスカットを取りに行く事が最終的な勝ち=利益に繋がります。
万人が「株で儲けたい、稼ぎたい」と思って株をやり始めます。
ところが実際にやりだしてから同じ発想で取り組もうとするといつまで経っても勝てないそこら中にいる上手くいかない人たち、含み損を抱えて身動きが出来ない人たちと同じになります。
勝てるトレーダーになろうと思ったら発想は万人と同じではいけません。
商売で成功しようと思ったら経費がかかります。
ロスカットの金額こそトレードにおける最大の経費、「損」ではなく「売上を得る為の経費」です。